モルタルは独特のムラ感と質感がおしゃれで、家づくりにぜひ取り入れたいアイテムのひとつ。
玄関や土間の床に使用しているイメージが強いですが、コンクリートの補修・タイルやレンガの接着・コンクリートブロック積みなど、建築現場では幅広く使用されています。
モルタルにはシミやクラックが出来やすいといった特徴があり、経年劣化が気になるという人も多いでしょう。
そのため家づくりにおいて、室内の壁や天井には使用しにくいといったデメリットがあります。
そんな時におすすめなのが、モルタルの雰囲気はそのままの、室内用の塗り壁材。
モルタルの風合いを残しつつ、おしゃれ度抜群な家づくりを叶えられます。
今回は、そんなモルタル風の仕上げができるおすすめの塗り壁材を、厳選してご紹介します!

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塗り壁の魅力とは?


塗り壁は昔から用いられており、長年愛されている家づくりには欠かせないアイテム。
左官壁と呼ばれたりもします。
珪藻土や漆喰などが有名で、お寺や神社などにも使われていますよね。
ビニールクロスに比べ耐久性に優れ、原料によって様々な効果を期待できるため、令和の家づくりにおいても塗り壁はとても人気です。
手作業ならではの風合いを楽しめる
塗り壁は左官職人さんが手作業で行うため、クロスにはない自然な風合いを楽しめるのが魅力。
質感や肌触り、手作業ならではのムラ感、光が生み出す陰影などは塗り壁だからこそ表現できるもの。
最近では塗り壁風のクロスも多いですが、見た目は似ていてもクロスには必ず継ぎ目が出るため、本物の塗り壁のほうが上質な空間に仕上がります。
自然素材の安心感がある
化学製品で出来たビニールクロスと違い、塗り壁は自然素材由来のため安心感があります。
最近では、なるべく自然素材で出来た資材や建材で作る「自然素材の家」も人気ですよね。
小さいお子さんがいる、ペットと暮らしている、アレルギーや喘息がある、といった場合でも安心して暮らせるのが魅力です。
機能性に優れる
塗り壁には様々な種類があり、原料もそれぞれ。
原料によっては優れた機能性を持っており、例えば漆喰や珪藻土なら調湿効果や脱臭効果が期待できます。
ビニールクロスのなかにも機能性を謳っているものはありますが、自然素材と比べると効果は薄いです。
よく”塗り壁の家は空気がきれい”と言いますが、これは本当にその通り。
実際に私が住んでいる家は漆喰の壁ですが、家の外よりも室内の方が空気のきれいさを実感します。
デザインの自由度が高い
塗り壁はカラーや仕上げ方によって、様々な表情を作れるのも魅力のひとつ。
あえて塗りムラを大きくして素材感を際立たせたり、壁に模様を描いてみたり。
なかには自分で塗ることを推奨している塗り壁材もあり、デザインの自由度は高いです。


モルタル風デザインがおしゃれな塗り壁7選


塗り壁でモルタル風のデザインを叶えるためには、カラーやテクスチャが大事。
モルタルはのっぺりとした単色ではなく、手作業だからこそのムラ感のあるデザインと、触れた時の質感が特徴です。
モルタルらしい風合いを表現できるような、”モルタライク”なおしゃれな塗り壁材を厳選しました!
モールテックス


モールテックスはベルギー生まれの左官材で、モルタルと同じような材料で出来ているため、モルタル風を表現するのにぴったりです。
薄塗りで工程が少ないため、施工性に優れるのも特徴のひとつ。
塗り方も様々で、つるっとした仕上げや、塗りムラの大きな仕上げなど好みに合わせてデザインできます。
壁はもちろんのこと、階段や洗面などの造作、家具などにも使用できます。
水回りもOKなので、キッチンや洗面など水濡れが気になる場所にも使用可能。
表面をカバーする保護剤もありますが、研磨剤などに弱く、シミや汚れはある程度覚悟が必要です。
モールテックスは正規代理店のみの取り扱いのため、施工できるかどうかは建築会社に確認しましょう。
クライマテリア モルタルアート


アイカ工業のモルタルアートは、樹脂系の材料で出来た左官材で、本物のモルタルのような無機質さが魅力。
コテ仕上げならではのムラ感は、見た目はモルタルそのもの。
一般的なモルタルはグレーですが、ベージュやブラックなどカラーバリエーションが豊富なので、部屋の雰囲気に合ったカラーを選べます。
薄塗りのため、角まできれいに仕上がる施工性の高さも、人気の理由のひとつ。
ただし優れた左官の腕が必要なため、指定された施工店でのみ取り扱いが可能です。
採用を決めるために、施工できるかどうか建築会社に確認しましょう。
ダイヤモンドシステム


ダイヤモンドシステムはデコラ社から発売されている左官材で、防水性と耐摩耗性に優れているのが特徴です。
壁だけでなく、床や水回り、屋外にも使用できる施工性の高さも人気。
本物のモルタルと比較して、乾燥の為の養生期間が短く済むのもメリットのひとつ。
ムラ感の強い仕上がりよりも、塗りムラを抑えつつモルタル風のデザインを叶えたい場合におすすめです。
標準色で47色ものカラーバリエーションがあるので、好みに合ったカラーを選べますよ。
ワンダーフィックス


ワンダーフィックスは水と混ぜて使う高性能ポリマーセメントで、二層塗りによる色ムラの表現が可能です。
モールテックスやモルタルアートに比べ、費用を抑えられるのも魅力のひとつ。
材料は通販でも購入可能なので、施工だけをお願いしたり、自信でDIYすることで安く済ませることができます。
室内の壁はもちろん、屋外にも使用可能です。
微粒子でなめらかな仕上がりになるため、DIYでも採用しやすいですよ。
ただ施工例があまり多くないので、プロに相談しながら仕上がりを確認しましょう。
コンクリートエフェクトペイント


タカラ塗料のコンクリートエフェクトペイントは、三色の塗料を重ねてモルタルの風合いを表現する、水性の塗料です。
左官材とは違い、自分で簡単に塗ることが出来るので、DIYにもおすすめ。
左官職人の手作業に比べると格段に安く済ませられ、さらにクロスの上からも塗装できるため、手軽に模様替えが叶えられます。
重ね塗りすることでムラ感や模様を作るため、好みに合わせて強弱を付けられるのも魅力のひとつ。
失敗してもさらに重ね塗りが出来るので、小さいお子さんでも楽しんで塗装できます。
バルペイント


まるで本物のようなリアルなテクスチャーが魅力のバルペイントは、イタリア生まれの最高品質の水性塗料。
質感にこだわっていることもあり、施工認定者による施工が必須です。
バルペイントの11種類の塗料のうち、セメントのような重厚感がおしゃれな「メテオレ10 セメント」と、ムラ感のあるモルタル風を再現できる「メテオレ10 イントナコ」がおすすめ。
職人が手作業で仕上げるため、自然素材らしい風合いを楽しむことができます。
「メテオレ10 イントナコ」は全77色の豊富なカラーバリエーションも魅力で、ムラを抑えたニュアンス風の施工も得意です。
ポーターズペイント


ポーターズペイントはオーストラリア生まれの自然由来の塗料で、塗り壁ならではの陰影や質感が魅力です。
様々な素材を顔料に混ぜることで、左官職人が仕上げたような表情を、刷毛で作れるというのがポーターズペイントのすごいところ。
また300色以上の豊富なカラーバリエーションがあり、ひとつひとつ職人が調合するというこだわりよう。
ポーターズペイントは施主塗装を勧めているという特徴もあり、しっかりとプロによるレクチャーを受けたうえで、自分で塗装することも可能です。
色の濃淡を楽しめる「フレンチウォッシュ」や、色ムラの模様が美しい「インテルノライムウォッシュ」、モルタライクなつや消し塗装が可能な「ディステンパー」がモルタル風の表現におすすめです。


塗り壁を選ぶ際の注意点


一言で塗り壁といっても、左官職人が仕上げる左官材や、刷毛で塗れる塗料など種類は様々。
色合いや模様も大事ですが、それ以上に質感が大切ということを忘れてはいけません。
塗り壁材を選ぶ際は、以下の点に注意しながら、自分たちに合ったものを探しましょう。
質感の仕上がりに注意する
塗り壁材は、原料・染料・顔料によってテクスチャーが異なります。
モールテックスやモルタルアートのようにもったりとした左官材もあれば、コンクリートエフェクトペイントのようなさらさらした塗料もあります。
テクスチャーの違いによって仕上がりの質感は違うので、重厚感のある質感が好きなのか、さらっとした質感にしたいのか、好みに合ったものを選ぶようにしましょう。
模様で雰囲気は変わる
質感と同じく、どのくらい模様が出るのかによっても雰囲気は大きく変わります。
例えばモールテックスなら、左官職人が手作業で仕上げるため、どのくらいのムラ感や模様にしたいのか事前のすり合わせが必須です。
「模様強めで」と伝えても人によって感覚は違うので、仕上がりのイメージを伝えておくと安心ですね。
塗り壁材によってもムラ感が控えめだったり、逆に模様が大きく出るなどの違いもあるので、完成イメージに合ったものを選ぶようにしましょう。
クロスへの張り替えはできない
一度塗り壁で仕上げた壁は、基本的にはクロスへの張り替えはできません。
クロスなら部屋を模様替えしたいと思えば簡単に張り替えが可能ですが、塗り壁の場合はクロスのように剥がすことが出来ないため、手間と費用がかかってしまいます。
また生活しているとどうしても汚れや傷が気になりますが、クロスに比べて補修費用も高くなるため、メンテナンス性も考慮しながら検討しましょう。
必ず見積もりを取る
塗り壁は、クロスに比べて施工に手間と時間がかかります。
そのため費用も高くなるので、必ず事前に見積もりを取り、予算に合うかどうか確認しましょう。
職人が仕上げる左官材の方が高額なので、モールテックスやモルタルアートの場合は、予算取りをしておくと安心です。
予算を抑えたいからといって、塗り壁とモルタル風のクロスを組み合わせるのは、クロスの偽物感が目立ってしまうのでおすすめしません。
施工範囲を絞って取り入れるほうが、塗り壁の風合いが際立ちますよ。


塗り壁の施工におすすめの場所


塗り壁は自然の風合いと意匠性の高さが魅力ですが、広範囲に塗るとなるとかなりの費用がかかってしまいます。
予算を抑えつつおしゃれな空間づくりを叶えるには、見せ場となるポイントを絞って素材感を際立たせるのがおすすめ。
目に付きやすく、おしゃれ見えする場所に取り入れるようにしましょう!
LDK


LDKは家族が集まる場所であり、来客時にも目に付くところ。
LDKの雰囲気がそのまま家全体のイメージにつながるため、内装デザインにもこだわりたいポイントです。
塗り壁を施工するのにおすすめなのは、ドアや窓がない壁一面。
特にリビングの一部に取り入れると、距離が近く素材感を感じやすくなり、塗り壁が際立ちます。
コンセントやスイッチのカバーの色合いも合わせると、洗練された空間に仕上がりますよ。
キッチンの腰壁


Ⅰ型のキッチンなら、キッチン前の腰壁をモルタル風デザインにするのがおすすめ。
おしゃれなカフェのような空間に仕上がり、一気に注文住宅らしさがアップします。
カフェ風だけでなく、北欧風、インダストリアル、ジャパンディなど幅広いテイストに馴染むため、採用しやすいのもおすすめポイント。
キッチン周りはどうしても水が飛ぶため、水回りOKの塗り壁材を選ぶようにしましょう。
角が多く複雑な場合は、施工性に優れたものを選ぶときれいな仕上がりになりますよ。
寝室


寝室は日々の疲れを癒すためにも、落ち着きのある空間にしたいですよね。
塗り壁は手作業で仕上げるからこその暖かみがあり、さらに自然素材という安心感もあるため、寝室に取り入れるのがおすすめ。
また柔らかい光で照らす寝室は、塗り壁ならではの陰影を楽しむのにもぴったり。
間接照明やフロアランプなど、照明も上手に組み合わせて、ゆっくりと休める空間づくりをしましょう。
テレビボードの背面


テレビボードの背面は、タイルや塗り壁など異素材を取り入れやすいところ。
テレビボードやインテリア雑貨などのアイテムと組み合わせることで、塗り壁の風合いをより感じやすくなります。
クールなカッコ良さが好みならモノトーンアイテムと、暖かみのあるナチュラルモダンな空間が好みなら無垢との相性が抜群です。
間接照明やスポットライトと合わせて、塗り壁らしい陰影を楽しむ内装デザインもおすすめです。


おしゃれ度抜群のモルタルデザインを取り入れよう


モルタル風の塗り壁は、モルタルのデザイン性の高さを表現しつつ、シミやクラックといったデメリットを解消できるアイテムです。
ビニールクロスにはない自然の風合いは、注文住宅だからこそ叶えられるもの。
モルタライクにぴったりの塗り壁材はたくさんあるので、施工する場所・予算・仕上がり・質感などを比較し、自分たちの好みに合ったものを選びましょう。
左官材は職人さんの腕に左右されるため、施工が可能かどうかの確認も忘れずに。
ぜひモルタル風デザインを取り入れて、ワンランク上のおしゃれ度抜群な空間づくりをしましょう!