床暖房は、家づくりの要望のなかでも人気の設備の一つ。
四季があり、一年で気温の変化が激しい日本では、冷暖房設備は欠かせません。
「床暖房=冬を快適に過ごせる」というイメージですが、実際の過ごしやすさやコストが不安という人もいるでしょう。
そこで今回は、
- 床暖房の使い心地はぶっちゃけどうなの?
- 床暖房はメンテナンスが必要?
- 設置費用やランニングコストが気になる
このような疑問や不安にお答えし、床暖房の特徴やメリット・デメリットについて解説します。

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床暖房の種類


床暖房は大きく分けて温水式と電気式があり、さらに熱源の違いによって分かれます。
それぞれに特徴がありますが、新築で床暖房を検討している場合は、建築会社がどの床暖房を採用しているかによって選択肢が変わります。
温水式床暖房
温水式床暖房は、床下に温水パイプを巡らせた温水マットを設置し、そこに温水を循環させることで暖めます。
電源を入れてから暖まるまでが電気式に比べると早く、電気式よりもランニングコストを抑えられるのが特徴。
ただ、初期費用は温水式の方が数十万円ほど高くなります。
ガス式
給湯器や床暖房専用のボイラーなどでお湯を沸かし、その温水を利用します。
ガス式は温水式床暖房のなかでも、最も立ち上がりが早く、暖まるまでの時間も早いのが特徴。
ガス式では熱源にエコジョーズを使用するのが一般的で、給湯と床暖房の役割を果たしてくれます。
ヒートポンプ式
太陽光や電力でお湯を沸かし、その温水を利用します。
自然エネルギーを使用するため電気代の節約になり、ランニングコストを安く抑えられるのが特徴。
熱源はエコキュートが一般的で、ガス式と比べると、暖まるまで若干時間がかかります。
灯油式
床暖房専用のボイラーでお湯を沸かし、その温水を利用します。
灯油を使用するため、ランニングコストを抑えられるのが特徴。
ただ、ボイラーの定期的なメンテナンスが必要なこともあり、新築ではあまり見かけません。
電気式床暖房
電気式床暖房は、床下に発熱線や発熱体を内蔵したパネルを設置し、電気の力で発熱させ暖めます。
電気式床暖房を使用するためには、使える電気の容量を高くする必要があり、必然的に基本料金も上がります。
電気代が高くなるため、ガス式に比べるとランニングコストも高め。
さらにガス式よりも立ち上がりに時間がかかり、暖まるまで時間を要するとも言われています。
ただ、施工は電気式の方が簡単で、初期費用は抑えられます。
電熱線式
床下の発熱線に電気を流すことで暖めます。
電気式床暖房のなかでは最もポピュラーで、通電して暖めるというシンプルな構造。
寿命が長く、メンテナンスフリーなのが特徴です。
蓄熱式
床下に蓄熱材を敷き、夜間に電力を使って蓄熱し、日中に放熱させることで暖めます。
料金の安い夜間に電力を消費するため、電気式のなかでは最も電気代を抑えられるのが特徴です。
PTCヒーター式
PTCヒーターは温度に反応して通電を抑える機能のある、温度センサー付きの床暖房。
例えば人の集まっているところ、日当たりのいいところを感知し、その部分の発熱を抑えます。
余分な電力の消費を抑えられるため、電気代の節約につながります。


床暖房のメリット


床暖房は「新築で採用したい設備」のなかでも人気が高く、冬の寒い時期でも快適な暮らしを叶えてくれます。
床暖房には様々なメリットがあり、ライフスタイルによっては非常に魅力的でしょう。
足元が暖かい
暖房で部屋が暖かくても、足元の冷えに悩んでいるという人は多いはず。
特に女性や年配の方は、冬は靴下を重ね履きするという人もいるのではないでしょうか。
床暖房は床下に熱源があるため、足元がポカポカと暖かいのが魅力。
さらに床下からのふく射により部屋全体が暖まるので、暖かさを感じやすいと言われています。
空気が乾燥しない
冬は寒さ以外にも、空気の乾燥も悩みの一つ。
エアコンは暖かい風を放出するため、室内の湿度を奪い、空気を乾燥させてしまいます。
対して床暖房は、空気自体を暖めてくれるため、エアコンと比べると空気が乾燥しにくいのが魅力。
エアコンのように風の当たる場所を避ける必要もなく、どこでも快適に過ごせます。
ゴミや埃が舞わない
床暖房は風を放出しないため、ゴミや埃が舞う心配がありません。
家の中が乾燥していたり、埃っぽいと喘息などの原因のひとつに。
床暖房なら空気が汚れることはないので、ペットやお子さんがいる家庭でも安心です。
掃除の手間がない
床暖房は暖房システムが床下に設置されているため、普段のお手入れは必要ありません。
エアコンのようにフィルターの掃除や交換の手間がなく、掃除の手間がかからないのが魅力。
ただメーカーによっては定期的なメンテナンスが必要な場合もあり、別途費用がかかることも。
新築の場合は保証が付いてくるため、期間内であれば無償でメンテナンスしてくれますよ。
お子さんがいても安全
床暖房のスイッチは壁に取り付けるため、誤作動の心配がないのもメリットのひとつ。
また小さいお子さんがいる家庭は、冬でも裸足で駆けまわったり、床に寝転んだりしがち。
そんなとき床暖房があれば、お子さんも快適に過ごせます。
寒がりな猫ちゃんやわんちゃんも、床暖房がお気に入りという子は多いですよ。


床暖房のデメリット


床暖房はメリットだけでなく、もちろんデメリットもあります。
メリットとデメリットを比較し、自分たちのライフスタイルに合っているかどうかしっかり検討しましょう。
初期費用が必要
床暖房を設置するには、メーカーにもよりますが、一帖あたり5万~10万ほどの費用がかかります。
費用は電気式の方が安く、ガス温水式の方が高め。
床暖房を設置する範囲によって費用は変わるので、どれくらい必要なのかもしっかりと検討しましょう。
キッチン・ダイニング・リビングが一般的ですが、キッチンは必要なかったという口コミも多いので、実際に床暖房を採用した人の体験談を参考にするといいですよ。
ランニングコストがかかる
床暖房に限らずですが、利用するのにはガス代や電気代がかかります。
ランニングコストは電気式の方が高く、温水式の方が安く済むと言われています。
ここ数年で電気料金が爆上がりしていることもあり、温水式のなかでもガス式が最も費用を抑えられておすすめ。
オール電化で太陽光を設置しているという家庭では、ヒートポンプ式がおすすめです。
冷房機能がない
床暖房には冷房機能がないため、エアコンの取り付けも必要です。
最近のエアコンは省エネ性に優れており、湿度調整機能付きのものもあるので、夏場を快適に過ごせるエアコンを探すといいですよ。


床暖房を設置した人の実体験談


新築で床暖房を採用した人たちの、実体験談をご紹介。
床暖房の範囲や、家の広さ、間取りなどにより暖房効率は変わりますし、暖かさの感じ方も人それぞれなので、あくまで参考として見てくださいね。
冬は床暖房だけで過ごせます(40代・愛知)
我が家は22帖のLDKに、ダイニングとリビングの二カ所に床暖房を付けました。
吹抜もなく特別広いわけでもないので、床暖房だけで十分暖かいです。
子どもがまだ小さく、普段はリビングで一緒に遊ぶので、床暖房があって良かったです。
電気代が心配でしたが、新築で断熱性が上がったおかげで、賃貸のときより安くなりました(笑)
着こまなくても寒くないのが最高(30代・千葉)
一条工務店で、全館床暖房の家を建てました。
まず、高気密・高断熱を謳っているだけあって、冬でも室内が暖かくてびっくり。
12月に入るまでは暖房なしで、着こまなくても快適に過ごせました。
床暖房はすぐにあったかくなるので、お風呂上りにパジャマでうろうろ出来て最高。
前の家はお風呂上りに寒くて仕方ありませんでしたが、今は快適に過ごせています。
我が家の猫ちゃんもお気に入りです(30代・三重)
結婚を機に新築し、念願だった床暖房を付けました。
我が家では猫を二匹飼っているのですが、寒さが苦手なようで、冬になるとなかなか姿を見せてくれませんでした。
それが、今は床暖房が心地いいようで、リビングテーブルの下によくいます。
床暖房のおかげで、最高の家族団らんが出来ています!
寒がりの私の救世主!(30代・香川)
私は寒がり、子どもたちと主人は暑がりで、冬は暖房のエアコン争奪戦でした。
寒がりのくせに、ずっとエアコンを付けていると頭がぼんやりしてしまうため、室内でも厚着する日々。
今回家を建て直すにあたり、床暖房は必須条件でした!
新築して初めての冬を過ごしましたが、本当にポカポカと暖かいです。
足元だけでなく部屋全体が暖まるので、快適に過ごせています。
やって良かった設備ナンバーワン!(40代・静岡)
家を建てて、やって良かったなと思う設備ナンバーワンが床暖房です。
家で過ごす時間が長いため、コスパのよいガス温水式床暖房を採用しました。
キッチンはなしで、ダイニングとリビングのみ、一日10時間付けっぱなしで、電気代は月に25,000円ほど。
冬はどうしても電気代が上がるので、電気代はあまり気にしていません。
なによりも快適に過ごせるのが嬉しいです。
床暖房+エアコンで快適に(40代・愛知)
私の家は30帖ほどのLDKに、吹抜があるため、担当さんから「暖房効率が悪いので床暖房がおすすめですよ」と言われ採用しました。
暖かい空気は上昇するので、吹抜があると足元が冷えがちなんだとか。
実際に冬はエアコンだけだと、いつまでも強い風が出て、暖房効率の悪さを実感しました。
床暖房メインに切り替えたところ、快適さがグッとアップ。
冷え込む日は床暖房+エアコンで、暖かく過ごせています。
オール電化で省エネ生活が叶いました(40代・埼玉)
我が家はオール電化で、太陽光も設置しています。
夫婦ともに在宅ワークで、子どもも三人いて休みの日はゲームをしているので、電気は使いっぱなし。
冬は床暖房で、日中と夜だけ使っています。
床暖房は足元だけ暖まるイメージでしたが、だんだん部屋全体が暖かくなってきます。
家族で集まると暑いくらいで、想像以上の暖かさに驚きました。
メンテナンスフリーが嬉しいです(40代・広島)
毎年暖房の季節になると、エアコンのカビ臭さと乾燥が気になって仕方ありませんでした。
さらにエアコンは10年ほどで暖房効率が落ちると言うけれど、買い替えるには高い…
それに比べて床暖房は、面倒な掃除も一切なし!
耐用年数も家と同じくらい、20~30年持つんだとか。
こまめな掃除とおさらば出来て、乾燥も気にならなくなって、嬉しいです。
音が静かで快適です(20代・三重)
賃貸で暮らしていたときは、ソファの横にエアコンがあって、風が当たるし音はうるさいしで最悪でした。
今は床暖房になって、あんなに嫌だった音問題から解放されて嬉しいです。
エアコンのように音がしないし、風も当たらない、空気も乾燥しない、それでいて暖かい。
床暖房になってから、快適な暮らしを叶えられています。
朝は寒いが夜は快適(50代・東京)
床暖房はエアコンに比べると、暖まるのに時間がかかる印象。
朝起きてから付けても、朝ごはんの時間は寒くて結局エアコンを付けてしまう。
しかし一度暖まったら快適で、夜は床暖房だけで過ごせている。
カーペットを敷くと暖房効率が下がるのも難点に思うが、慣れれば過ごしやすい。


床暖房が標準仕様の建築会社


床暖房は初期費用が高いのが気になりますが、建築会社のなかには、床暖房が標準仕様として備わっているところも。
標準仕様であれば追加で費用がかからないだけでなく、口コミや評判も分かりやすいといったメリットも。
展示場やモデルハウスにも備わっているため、使用感を体感できますよ。
一条工務店
高気密・高断熱で知られる一条工務店は、全館床暖房が標準仕様。
LDKはもちろん、トイレ・洗面所・脱衣所・廊下など家中どこでも暖かいのが魅力です。
エアコンでは暖房できないところまで暖かいため、冬場のヒートショックの心配もありません。
一条工務店は性能にこだわった家づくりを得意としているため、間取りや設備の制限がありますが、全館床暖房や性能の高さに惹かれて選ぶ人が多いです。
ユニバーサルホーム
ユニバーサルホームは、標準仕様で一階の床全面が床暖房。
ユニバーサルホームの床暖房は地熱を利用しており、「地熱床システム」による基礎工法と、温水式床暖房を組み合わせて暖めてくれます。
夏は涼しく冬は暖かい地中の温度を利用することで、部屋を暖めるのに必要な電力を節約し、気になる電気代を抑えられるのが魅力。
寒さの厳しい北海道でも多く採用されており、快適さと省エネどちらも叶えたいという人におすすめです。


床暖房は満足している人が多数!


寒さの厳しい冬でも暖かく過ごすためには、床暖房はとても役立つ暖房システムです。
エアコンが苦手だったり、小さいお子さんやペットのいる家庭、日中も家で過ごす人にとっては、床暖房があれば快適に過ごせること間違いなし。
床暖房はエコジョーズやエコキュートといった給湯器を熱源として利用するのが一般的ですが、床暖房を標準仕様としている建築会社では、ランニングコストを抑えられる工夫も。
初期費用はかかりますが、一度設置すれば長く使える暖房システムなので、ぜひ検討してみてください。