家の外観は、家の印象を決める重要なポイントです。
街を歩いていて「おしゃれな家だな」「この家かわいいな」と思うこともありますよね。
注文住宅で家づくりをする場合、家の間取りや外観デザインは早い段階で決めなければなりません。
しかし、外壁の種類はなにがいいのか、予算に合う外壁はなにか、分からないことも多いはず。
そこで今回は、家の外壁を決める際のポイントと、外壁の種類ごとのメリット・デメリットについてご紹介。
ぜひ家づくりの参考にしてくださいね。

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家の外壁の種類はどう決める?


家の外壁を決めるには、デザイン性・メンテナンス性・価格の面から、自分たちの家づくりに合った外壁材を選ばなければなりません。
特に価格については、外壁は範囲が広いため、外壁材の種類によっては100万以上の差が出ます。
おしゃれでかっこいい外壁は、どうしても高いもの。
外壁にこだわりがある場合は、あらかじめ外壁の予算を確保しておいて、資金計画に組み込んでおくといいですよ。
デザイン性
外壁は見た目の印象に直結するため、どんなデザインにするのかによって、家のテイストが変わります。
外壁の種類はもちろんのこと、全体の色合いや、貼り分けなどの装飾の仕方も大切。
外壁以外にも、屋根・窓・玄関ドア・ポーチタイルなども合わせて、全体のコーディネートが必要です。
ホワイトの外壁はすっきりとした印象でどんなテイストにも馴染み、アクセントで差し色を入れてもおしゃれなデザインに。
ブラックやグレーは重厚感があり、ホテルライクやモダンな家づくりにぴったりです。
ベージュは落ち着きのある風合いがおしゃれで、特に塗り壁との相性が抜群。
ブルーやグリーンは他と被りにくいデザインが特徴で、カリフォルニアスタイルや北欧スタイルにおすすめです。
メンテナンス性
外壁の耐久性は年々進化しており、10年ごとにメンテナンスが必要だと言われていた時代もありますが、最近では30年以上使用できるものも。
とはいえ、外壁の種類によって汚れやすさも違いますし、メンテナンスのしやすさや劣化の速度も違います。
特にデザイン性に優れた、大判タイルや表面加工のあるタイルは、耐年数が短いものも。
見た目のおしゃれさも大切ですが、メンテナンス性や耐久性にも注目しながら、外壁選びを行いましょう。
外壁の塗装や貼り換えには100万円以上の費用がかかることも多いので、注意が必要です。
価格
外壁は範囲が広いこともあり、外壁の種類によって価格が大きく変わります。
予算オーバーしてしまい、外壁材を変えることで減額調整をすることもしばしば・・・
また、例えば同じサイディングでもグレードやデザインによっても値段が違います。
全てに当てはまるわけではありませんが、デザイン性が高くおしゃれなものほど価格が高く、反対に〇〇風といったように本物に風合いを似せたデザインは安いです。
見た目のおしゃれさにもこだわりつつ、価格も抑えたい場合には、一部のアクセントにだけお金をかけるのがおすすめ。
例えば全体はサイディングで、玄関周りだけタイルにする。
家に囲まれて見えない部分はサイディングで、正面だけタイルにする。
家づくりは予算に収まるように計画することが何よりも大事なので、価格を抑える工夫もしてみてくださいね。


外壁の種類とメリット・デメリット


よく使われる外壁材には、窯業系サイディング、金属系サイディング、木質系サイディング、塗り壁、タイル、ALCがあります。
それぞれに特徴があり、どんな外壁材が合っているのかは人それぞれ。
メリットとデメリットの双方を考慮し、予算とも相談しながら、理想の家づくりに合う外壁を選びましょう。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは最も多く採用されている外壁材であり、豊富なデザインと手頃な価格が特徴です。
価格が安価なため、賃貸住宅や建売住宅でもよく採用されており、費用を抑えたい場合はサイディングがおすすめ。
建築会社にもよりますが、窯業系サイディングを標準仕様としているところが多いです。
メリット① 安価である
窯業系サイディングの最大のメリットは、他の外壁材に比べて安価であること。
そのため初期費用を抑えられ、コスパよく家づくりをしたいという場合におすすめです。
メリット② デザインが豊富
デザインが豊富で、カラーバリエーションもたくさんあるため、デザインの選択肢が多いのもメリットのひとつ。
塗り壁調をはじめ、タイル調、レンガ調、木質調など様々な風合いがあるので、イメージに合わせたデザインを選べます。
メリット③ 機能性で選べる
サイディングのなかには、様々な機能を持つものも。
例えば汚れを防ぐ防水・防汚コートや、ウイルスや菌の繁殖を防ぐ抗ウイルス・抗菌機能など、デザインだけでなく機能性で選ぶこともできます。
デメリット① 必ず継ぎ目が出る
サイディングはデザインされたボードを貼り付けて施工するため、必ず継ぎ目が出ます。
タイルや塗り壁のように継ぎ目のないデザインには出来ないため、外観のおしゃれさを損なう可能性も。
継ぎ目はシーリングで埋めますが、シーリングが目立たないようするなど工夫が必要です。
デメリット② 吸水性が高い
サイディングは素材の性質上、吸水性が高いのがデメリット。
表面の防水塗装やシーリングが劣化すると、そこから内部に水が侵入する可能性があるため、定期的なメンテナンスが必要です。
金属製サイディング
金属系サイディングはスチールやアルミなどの金属板を加工して作られたサイディングで、ガルバリウム鋼板が最もメジャーです。
スタイリッシュな雰囲気と、窯業系サイディングに次いで安価なことから、住宅の外壁材や屋根材として広く普及しています。
メリット① 耐久性が高い
ガルバリウム鋼板は錆びにくく、耐久性が高いことがメリットのひとつ。
アルミ・亜鉛・シリコンを組み合わせた合金で出来ており、素材自体に防食作用があるため、長きに渡り美しさを保ってくれます。
メリット② 耐震性が高い
ガルバリウム鋼板はとても軽いため、他の外壁材に比べると建物や構造への負荷が少ないです。
そのため耐震性に優れ、屋根と外壁をガルバリウム鋼板で組み合わせれば、耐震性を一層高められます。
メリット③ 断熱性が高い
ガルバリウム鋼板は熱伝導率が低く、数ある外壁材の中でも断熱性はナンバーワン。
そのため外気温を室内に伝えにくく、一年を通して快適な暮らしをサポートしてくれます。
デメリット① デザインのバリエーションが少ない
ガルバリウム鋼板は板金らしいスタイリッシュさがありますが、窯業系サイディングやタイルに比べると、デザインのバリエーションが少ないです。
溝の幅やよろい貼りといった工夫は可能ですが、デザイン性を求めると価格が高額になりがち。
ガルバリウム鋼板でデザイン性を高めるには、色合いや貼り分けを工夫するといいですよ。
デメリット② 傷が付きやすい
物をぶつけたり、引っかけたりすると、凹んだり傷が付きやすいのもデメリットのひとつ。
またペットを飼っている場合は、爪で引っ搔いて傷付けてしまう可能性もあるので注意が必要です。
木質系サイディング
木質系サイディングは、木材を外壁として使用できるよう加工をして、板状に形成した外壁材のこと。
本物の木を使用しているものもあれば、集成材などの加工品を使用しているものも。
木本来のおしゃれさと温もりのあるデザインが人気で、様々なテイストの家と相性がいいのが特徴です。
メリット① デザイン性が高い
他のサイディングやタイルにはない、あたたかみのあるデザインは唯一無二。
メーカーによって色合いも様々で、節のないシンプルなものから、節の強い無垢ならではのデザインまで、好みに合わせて選べます。
メリット② 断熱性が高い
木を使用していることもあり、熱を吸収しにくく、断熱性が高いのがメリット。
素材そのものの断熱性に加え、見た目にもあたたかさがあるのは木質系サイディングならではです。
デメリット① 高価である
窯業系サイディングや金属系サイディングに比べると、価格が高いことがデメリットのひとつ。
特に無垢材を使用していると高額になりがちなので、玄関周りなど範囲を絞って使用するのがおすすめです。
デメリット② 劣化しやすい
外壁用に加工しているとはいえ、他の外壁材に比べるとどうしても劣化しやすいです。
紫外線に弱く、日の当たる場所と当たらない場所では、経年とともに見た目に差が出ることも。
そのため定期的なメンテナンスが必要で、経年劣化で色合いが変わることも楽しめる覚悟が必要です。
タイル
級感があり、豊富なデザインとメンテナンスフリーが魅力のタイル。
住宅だけでなく、分譲マンションやビルなど様々な建物に使用されています。
同じタイルでも、目地の色や貼り方によっても表情を変えるタイルは、おしゃれな家づくりには欠かせません。
メリット① 豊富なデザイン
外壁タイルは種類やデザインが豊富で、カラーバリエーションも多いのが魅力。
大きさや形によって見た目の印象が変わるため、選ぶ楽しさもありますよね。
目地の細かいタイルならすっきりとした印象に、大判タイルなら重厚感のあるおしゃれな印象になります。
メリット② メンテナンスフリーで高耐久
タイルは雨風に強く、汚れを落とす効果があります。
そのため他の外壁材に比べてメンテナンスフリーで、色あせや劣化しにくく、長きにわたって美観を保ってくれます。
メリット③ 耐火性が高い
タイルは焼き物のため、耐火性能は言わずもがな。
火が燃え広がるのを防いでくれるため、自宅だけでなく、近隣にとっても安心の外壁材です。
デメリット① 価格の幅が広い
タイルは種類によって価格は様々で、サイズが大きいものや、磨き加工などがされているものは特に高額です。
最近では標準仕様を総タイル貼りにしているハウスメーカーもありますが、サイディングから変更する場合は、必ず見積もりをしてもらいましょう。
デメリット② 補強が必要な場合も
タイルは軽量なものもあれば、重さがあり別途補強が必要な場合も。
重たいタイルはそれだけ建物負荷がかかり、欠損や剥離の可能性も高まります。
使用するタイルの特徴に十分注意し、きちんと対策を行ったうえで施工しましょう。
塗り壁
外壁の塗り壁は大きくわけて土塗り・漆喰・モルタルがあり、どれも左官職人が手作業で仕上げるのが特徴。
独特の風合いに魅了される人は多く、住宅ではジョリパットやベルアートが広く普及しています。
塗り方や色合いで様々な表情を見せてくれて、和モダンや洋風な家づくりによく合います。
メリット① デザイン性が高い
塗り壁は職人の手作業のため、唯一無二のデザインが魅力。
特にムラ感のある仕上げでは、全く同じデザインはひとつとしてなく、手作業ならではの仕上がりを楽しめます。
サイディングのように継ぎ目が出ないのも、塗り壁ならではです。
メリット② デザインの幅が広い
塗り壁は仕上げ方や色合いによって、デザインの幅は無限大。
豊富なカラーバリエーションのなかから好みに合ったものを選ぶことができ、自分だけのオリジナル色を作ってもらうことも可能です。
メリット③ 耐火性が高い
塗り壁は耐火性・防火性に優れており、万一火災があっても延焼を防いでくれます。
隣からのもらい火にも強く、燃えても有害物質を排出しない、安心安全な外壁材です。
デメリット① 施工費が高い
塗り壁そのものの費用に加え、職人さんが仕上げる手間代も必要。
そのためサイディングやタイルに比べ施工費が高く、定期的な塗り直しも必要なため、ランニングコストもかかります。
デメリット② 汚れやひび割れが目立つ
色合いにもよりますが、特にホワイト系の塗り壁は汚れが目立ちやすいです。
最近では破風のない軒ゼロの屋根も多いですが、雨が直に当たるため、塗り壁との相性はよくありません。
また素材によっては伸縮性がなく、ひび割れを起こしやすいといったデメリットも。
ALC
ALCは軽量気泡コンクリートのことで、耐久性・耐震性・断熱性・耐火性・遮音性など様々な性能に優れた外壁材です。
軽量で外壁以外にも使用できるため、ビルや倉庫などにも広く使われているのが特徴。
注文住宅では、高耐久で有名なヘーベルハウスがALCを採用していますね。
メリット① 耐久性が高い
ALCは内部に補強材が組み込まれているため耐久性が非常に高く、きちんと定期的なメンテナンスを行えば、50年持つと言われるほど。
外壁材のなかでも耐久性はナンバーワンで、ランニングコストを抑えられます。
メリット② 耐震性が高い
ALCは軽量なため建物に負荷がかからず、さらに地震の揺れで変形するのを抑えれるよう取り付けられるため、高い耐震性を発揮します。
損傷や落下を防いでくれるため、避難の際の安全も確保してくれますよ。
メリット③ デザイン性が高い
ALCは様々なデザインのラインナップがあり、さらに好みの色に塗装することも可能。
そのためデザインの幅が広く、理想の家づくりを叶えられます。
デメリット① 初期費用が高い
ALCは耐久性が高くランニングコストを抑えられますが、そのぶん初期費用が高いのがデメリットのひとつ。
そのためなるべく費用を抑えて家づくりをしたい人にとっては、採用しづらいかもしれません。
デメリット② 吸水性が高い
ALCは素材そのものに防水性がないため、表面に防水性を高める仕上げが必要です。
メンテナンスを怠ると、防水性能が劣化し、結露やカビの原因にも。
特に寒冷地では、きちんとメンテナンスを行わなければなりません。


外壁を選ぶ際の注意点


外壁は選ぶ種類によって費用が大きく変わり、見た目の印象も異なります。
そのため、デザイン性や機能性、予算など総合的に判断しなければなりません。
また、意外にも「思っていたイメージと違った」という失敗談も多いです・・・
外壁を選ぶ際は、必ずプロと相談しながら、仕上がりのイメージをしながら決めていきましょう。
資金計画に予算を入れる
建築会社によりますが、外壁の標準仕様に窯業系サイディングを採用しているところが多いです。
窯業系サイディングから変更したい場合は、必ず契約前に伝え、見積もりに入れてもらいましょう。
例えば窯業系サイディングから総タイル貼りに変えると、建物の大きさにもよりますが、100万円以上の追加費用がかかることも。
大判タイルや塗り壁だと、さらに高額に。
契約後に予算オーバーになって後悔しないためにも、事前に予算をとっておくことが大切です。
パースでイメージを確認する
外壁は貼る範囲が広いため、サンプルだけを見ていてもなかなかイメージしずらいですよね。
必ずパースで完成後のイメージを確認し、屋根や玄関ドアとのバランスも見てデザインを決めましょう。
サイディングやALCの場合、必ず継ぎ目が入ります。
パースでは継ぎ目までは再現できないため、気になる場合は事前に確認しておくと安心です。
出来るだけ完成物件を見る
既に施工している物件があれば、実際の現場を見るのが一番イメージの違いをなくせます。
写真では日の当たり方や撮り方によって色合いが変わって見えることもあるので、出来れば完成物件を見にいきましょう。
塗り壁なら仕上げ方も実際に見てみると、とても参考になりますよ。


自分たちの理想に合った外壁材を見つけよう


家づくりにおいて、外観のデザインを決めるのは楽しみのひとつであり、失敗できない重要なポイントでもあります。
後から後悔することのないよう、それぞれの特徴やメリット・デメリットを考慮して、理想の家づくりを叶えていきましょう。
最近ではSNSで家づくり体験を発信している人も多いので、実際に建てた人の意見を参考にするのもいいですよ。
ここで紹介したポイントも参考にしながら、素敵な家づくりをしてください。

