現役の建築デザイナーに聞いた!プロが選ばなかった注文住宅のデザイン10選

せっかく注文住宅で家を建てるなら、家族や友人に自慢できるような素敵なおうちにしたいですよね。

最近ではSNSなどで自宅の紹介をする人が多いので、いろんな施工事例を見て「こんな家にしたいな」と情報収集するのも楽しみのひとつ。

しかし、なかには建築のプロだからこそ選ばなかったデザインもあります。

そこで、現役の建築デザイナーやインテリアコーディネーターに「自分が選ばなかったデザイン」を聞いてみたところ、様々な意見がありました。

もちろん個人の主観であり、メリットとデメリットを比較したうえで選ばなかったもので、決して悪いデザインではありません。

あくまで家づくりの参考として、プロの意見も見てみましょう。

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目次

プロに聞いた!注文住宅で選ばなかったデザイン10選

建築デザイナーやインテリアコーディネーターは、素材の質感や特性などに詳しいため、家づくりにおいて様々なアドバイスをしてくれる強い味方です。

家はずっと住むものなので、見た目だけでなく使いやすさもとても大切。

家づくりにおいて何を重視するかは人それぞれですが、暮らしを考えてデザインするなかで、プロだからこそ選ばなかったものとはなんでしょうか。

デメリットに感じたポイントも紹介しますので、ぜひ家づくりの参考にしてください。

タイル調のクロス

出典:https://www.lilycolor.co.jp/interior/lilycolornote/191114.html
玄関やLDK、洗面室、寝室などお部屋のアクセントとして、タイル貼りをしたいという人は多いですよね。

しかしタイルはクロスよりも価格が高いため、予算を抑えるためにタイル調のクロスを検討する人もいます。

ここで注意してほしいのが、タイル調のクロスはあくまでプリントされているだけなので、タイルのような凹凸や質感はないということ。

タイル貼りのイメージで採用して、仕上がりとのギャップにがっかりするというケースは実はとても多いんです。

また、タイルと比較するとどうしても安っぽさを感じてしまうことも。

タイルの柄にもよりますが、サブウェイタイルはクロスでもいいという人が多く、レンガ調やアンティーク調のタイルではイメージの違いを感じやすいです。

タイル調のクロスを採用する際は、玄関やLDKの壁一面など目に付きやすい部分は慎重に。

予算もあるかと思いますが、本物のタイルの方がやはりデザイン性は高いです。

クロスにするなら必ずサンプルを確認して、イメージと合っているかどうか確認しましょう。

キッチン周りやニッチ、柱など部分的に採用するなら、いいアクセントになりますよ。

モルタルの玄関や壁

出典:https://www.mdhomes.jp/co_photo/da4741a17af9eb3505b85e5472b5f601-31.html
モルタルは独特のおしゃれな雰囲気が人気で、掃き掃除もしやすいため、玄関や土間に多く採用されています。

カフェ風・インダストリアル・キャンパースタイルなど様々なテイストの家に合うため、人気が高い一方で、水に弱くシミやクラックが出来やすいといったデメリットも。

モルタルの欠点を事前に伝えていても、住み始めてから「想像以上に汚れる」「クラックが気になる」などの声が多いです。

以前SNSで洗面カウンターをモルタルにしたという投稿を見たことがありますが、絶対に汚くなるだろうな・・・と気になったことも。

モデルハウスなどではきれいに見えても、それは使っていないからです。

実際に住む家で使い続けると、必ずシミやクラックができます。

モルタルを採用する場合には、プロのアドバイスを聞きながら、慎重に選びましょう。

モルタルを採用する場合は、経年劣化も味として楽しめる覚悟が必要です。

モルタルの雰囲気を出したいのであれば、必ずしもセメントである必要はありませんよ。

例えばモールテックスは見た目はモルタルですが、防水のコーティングを行うため水周りにも使用できます。
(個人的にはモールテックスでも水周りはおすすめしませんが…)

他にもモルタル調のクロスやカラーの漆喰など、場所によっては違うもので代用するのもいいでしょう。

DIYでの塗装

出典:http://www.ifainc.jp/blog/info.php?id=5963
DIYの人気が高まるにつれて、注文住宅で家を建てる際にも「壁を自分たちで塗りたい」という要望が増えてきました。

自分たちで塗装するのはいい思い出になりますし、コストカットにもつながります。

壁の一部に手形を残したり名前を彫ったり、家づくりの記念を残すのもいいですよね。

しかし塗装というのは、職人さんの腕によって仕上がりに差ができるもの。

それを素人が行うので、ムラがあったり、角がきれいに塗れないのは当たり前なので、完璧を求める人はプロに任せるほうがいいでしょう。

壁の一面だけなら簡単ですが、壁や天井など面積が大きくなればなるほど、ムラが目立ち塗装も大変です…

広範囲を自分たちで塗装するのは大変ですし、ムラも目立つため、やるなら部分的なDIYがおすすめ。

手作りの風合いも楽しめるなら、コストを抑えられるのでいいと思います。

仕上がりが心配な場合は、クロスの上から塗る水性塗料もあるので、簡単に塗れるものを選ぶのも選択肢の一つです。

ローラーで塗れる漆喰など、施工のしやすさにも注目して塗料を探してみてください。

汚れや埃が目立つ床

出典:https://www.actie.jp/works_house/works_house-13047/
生活感を感じさせない、高級ホテルをイメージしたホテルライクな家づくりはとても人気です。

「大理石の床にしたい」「床も建具も白で統一したい」などの要望も多いですが、日常生活では不便に感じてしまうことも…

大理石の床は高級感がありますが、汚れや埃が目立ちやすく、とく抜け落ちた髪の毛は分かりやすいです。

また、床を傷付けないようにと常に気にして、疲れてしまうといった声も。

マメに掃除をできる人ならいいですが、ズボラさんは居心地の良さも考えてデザインを選ぶようにしましょう。

天然の大理石は床暖房にも適さず、原価が高いため費用もかさみます。

代わりに大理石調の床材にすれば、費用を抑えられるだけでなく、柄や色味など好みのものを選べるのでおすすめです。

フロアタイルや床タイルなど、それぞれの特性もしっかり比較してくださいね。

光沢がなく、汚れが目立ちにくいデザインもあるので探してみましょう。

ダークトーンのカラーコーディネート

出典:https://www.blife.co.jp/works/20210702/
一般的に、明るいトーンであれば開放感のあるデザインに、ダークトーンであれば重厚感のあるデザインになります。

床材・壁・天井をダークトーンでまとめると、重厚感がありグッとおしゃれさが増しますが、どうしても部屋全体が暗くなりがちに。

落ち着いた雰囲気が好きなのであればおすすめですが、写真だけでイメージしているとギャップを感じてしまうかもしれません。

LDKなど長い時間を過ごす場所では、照明を工夫したり、全体の色味のバランスを慎重に考えましょう。

ダークトーンが好みということであれば、間取りやデザインを工夫し、動きのあるコーディネートにすることでおしゃれさが増します。

大開口のサッシで明るさを取り込み、照明は十分な明るさで計画しましょう。

ダークトーンは間接照明と相性が良く、さらに調光にすると明るさを変えられるのでおすすめです。

ワンカラーではなく、タイル・天然石・木板など素材に変化を付けてみるのもいいですよ。

エアコンの目隠し

出典:https://www.sunpro-reform.jp/special/19826.html
壁付けのエアコンはどうしても目立ちますし、出来れば隠したいという人もいるかと思います。

空間に馴染んでいて、パッと見てエアコンだと分からないなんて素敵な工夫ですよね。

ただエアコンの目隠しは家具の造作やルーバーの取り付けが多いですが、どうしてもスペースを取ってしまい、それなりに費用もかかります。

埃が溜まりやすい、掃除がしにくい、エアコンの効きが悪くなるなどのデメリットもあるので注意しましょう。

最近では壁付けではなく、天井に付けるタイプのエアコンを選ぶ人も増えてきています。

天井タイプのエアコンは部屋全体に効きやすく、さらにスペースを取らないので見た目にもすっきりしていていいですよ。

メーカーによっては白以外にも、グレーやブラックなどのカラーバリエーションもあり、デザイン性も年々高まっています。

キッチンの造作

出典:https://bluehouse.co.jp/works/14573/
ほとんどの人が既製品のキッチンから選ぶかと思いますが、なかにはキッチンにこだわり造作を行いたいという人もいるでしょう。

キッチンの造作はⅡ型・L字型・コの字型など好きなデザイン・好きな設備で作れるのが魅力。

壁や床と面材を合わせれば、一体感があって空間によく馴染み、おしゃれな空間を作ってくれます。

しかし、価格が高いこと、様々な部品を組み合わせるため耐久性・メンテナンス性に不安があることが難点です。

もしキッチンの造作を希望するのであれば、必ず実績の多いところに依頼しましょう。

最近ではキッチンの造作を専門とする工房なども増えてきています。

「造作キッチンがおしゃれだから」と見た目で選ぶのはNG。

「間取りや生活スタイルに合ったキッチンが欲しい」「みんなで調理ができるスペースが欲しい」など用途を意識して選ぶようにしましょう。

依頼する際は、メンテナンスや保証などについてもしっかりと確認してくださいね。

鏡面仕上げの面材

出典:https://brass-design.com/product/59/
鏡面仕上げの面材は高級感があり、各メーカーのシリーズのなかでもグレードの高いものが多いです。

せっかく注文住宅を建てるなら、キッチンや造作洗面にはこだわりたいですよね。

鏡面仕上げはその名の通り、表面を鏡のように加工しているため、いつまでも新品のようにピカピカです。

ホテルライクな家にとてもよく合いますが、一方で日々のお手入れが欠かせないという一面も。

水アカや指紋、傷が目立ちやすいため、小さいお子さんやペットのいる家庭ではメンテナンスが大変なので注意しましょう。

鏡面仕上げの中でも、濃い色は水アカや指紋が目立ちやすく、薄い色の方が目立ちにくいです。

また単色よりも、木目やムラのあるデザインの方が目立ちにくいため、実際にショールームなどで確かめてから選ぶといいでしょう。

キッチンならI型よりも対面キッチンの方が面材の範囲が広く、リビングからも見えるため、こまめなお手入れが必要となります…

マメな人にはいいですが、ズボラさんは家事楽も意識して選んでくださいね。

床タイル

出典:https://hags-ec.com/products/detail/2581

フローリングに比べ、タイルの床は高級感・重厚感があり、おしゃれな家づくりの強い味方。

玄関やLDKなどのメインの床や、キッチン・洗面・脱衣など水回りの床をタイルにしたいという人は多いのではないでしょうか。

フロアタイルと呼ばれる、タイル風デザインの床材は水周りにも使用でき、デザインも豊富なため人気です。

しかしなかには、本物のタイルにしたいという人も。

より高級感が増し、デザイン的には言うことなしですが、タイルは冬は本当に冷たいです・・・

特に寒冷地では底冷えする原因になるので、しっかり検討してから決めてくださいね。

床タイルは価格が高く、冷えやすいといったデメリットもあるので、採用する際は慎重に。

海外で床タイルが多いのは、部屋の中でも靴を履いているからです。

LDKのメインの床材として使うなら、床暖房がおすすめ。
(タイルに床暖房は使えるの?とよく聞かれますが、使えますよ!)

タイルにもいろいろな種類がありますが、磁器質タイルは水周りでもOKで、種類も豊富なのでいいですよ。

ブラックの洗面器・水栓

出典:https://www.pinterest.jp/pin/953918764791999235/

造作洗面や造作手洗いで、ブラックの洗面器や水栓を見かけます。

シルバーやメッキに比べると、おしゃれな雰囲気がすてきで憧れますよね。

しかし、ブラックは水垢がかなり目立ちます・・・

毎日使うものなので、水垢が目立ち汚れていると、ストレスになる可能性も。

さらに困ったとこに、使うのは自分だけでなく、旦那さんやお子さんが汚して放置されることも…

使うたびにマメに水滴を拭けるマメな人ならいいですが、ズボラさんには向いていないかもしれません。

ブラックは見た目のおしゃれさに惹かれる人が多いですが、汚れやすいという点を無視してはいけません。

マット加工がしてあるものだと、水垢はもちろん、水滴ですら目立ちます…

ホテルライクな雰囲気が好きなら、メッキが高級感もありいいですよ。

メーカーによってはブラックだと価格が高くなるため、見た目だけでなくデメリットも考慮したうえで選ぶようにしましょう。

デザインで失敗しないためには?

家づくりのデザインで失敗しないためには、見た目のおしゃれさだけで選ぶのではなく、使いやすさや手入れのしやすさも考慮して決めることが大切です。

それぞれにメリット・デメリットがあり、デメリットを無視してしまうと、住み始めてから後悔することになってしまいます。

家づくりがはじめての人は、どうしても見た目や価格に目がいきがち。

親切な担当者であればデメリットも教えてくれますが、自分でも下調べしておくと安心ですね。

モデルハウスでは、使い勝手よりもデザイン重視で採用しているものも多いです・・・(特にデザイン重視の設計事務所はその傾向が強いかも?)

SNSもいいことしか発信していない場合もあるので、実際の使用感も聞いてみるといいですよ。

まとめ

注文住宅は間取り・デザインともに、それぞれの生活スタイルによって何が合うのか異なるもの。

ここで紹介したものがダメというわけでは決してなく、あくまでも一つの意見として参考にしてもらえればと思います。

万人受けするような正解がないのが、注文住宅の魅力であり、難しいところでもあります。

どんな家を建てたいのか、どんな暮らしをしたいのかイメージしながら、メリット・デメリットどちらも考慮して、自分たちに合った家づくりをしてくださいね。
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