注文住宅は契約してから家を建て始めるため、完成までの間に事情が変わり、契約をキャンセルしなければならないこともあるでしょう。
転勤、親の介護、離婚、収入減、担当者への不信感など、キャンセルの理由は様々。
買ったものであれば返品すればいいけれど、注文住宅の場合は返品というわけにはいきません。
そこで今回は、
- 注文住宅は契約後に解約できる?
- クーリングオフの対象になる?
- 解約までの流れは?
- 解約にはどれくらい費用がかかるか心配
など、注文住宅の解約に関する疑問や不安にお答えします。
大手ハウスメーカーに4年 / 年間1,000棟を手掛けるビルダーに8年/インテリアコーディネーター
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注文住宅は解約できる?
家を購入する際、既に完成しているのであれば売買契約、これから建てるのであれば建築工事請負契約を結びます。
注文住宅の場合は、建築工事請負契約が当てはまります。
建築会社と契約を交わすのですが、契約前であればもちろんキャンセルは可能。
仮に「契約します」と口約束をしていたとしても、事情があってのキャンセルであれば問題ありません。
(さんざん時間を割かせておいて、冷やかしであれば話は別ですが・・・それでも違法ではないですからね。)
契約後はキャンセルではなく、解約というかたちになり、解約のための手続きを行うことになります。
解約すると違約金が発生する
個人的な理由で解約をする場合、違約金が発生するのが一般的です。
違約金の金額は、建築会社や工事の進捗により様々です。
ただ建築工事請負契約のなかで「解約金」「違約金」について記載するのが一般的であるため、違約金は必ず必要と考えておきましょう。
もちろん建築会社の有責で解約に至った場合は、要相談となるでしょう。
クーリングオフは対象外
クーリングオフとは、契約を結んだ後でも、一定の期間であれば無条件で契約を解除できる制度のこと。
押し売り販売など、意思に反して契約を結んでしまった場合に適用される、救済措置のひとつです。
注文住宅でもクーリングオフは使えるの?と思うかもしれませんが、原則クーリングオフは認められません。
注文住宅の場合、建築会社の営業所や、自宅に担当者を招いて契約を交わすのが一般的です。
このような場合は「しっかりと判断したうえで契約の意思があった」とみなされるため、対象とはなりません。
解約はいつでも可能
工事がはじまってからでは解約できないのでは?と思うかもしれませんが、着工後であっても解約は可能です。
ただ建築工事が終わると、引き渡しまでの間に建物の登記などを行うのですが、登記後は解約はできません。
登記が完了する前までであれば解約はできますが、工事が進んでいると、既に作られた部分の取り壊しを行う必要があります。
もし解約を考えているのであれば、なるべく早めに申し出て、解約の費用も含め担当者に相談するようにしましょう。
注文住宅の解約にかかる費用は?
契約後に何らかの事情により解約する場合には、違約金を支払わなければなりません。
また違約金の他に、工事の進み具合によって、既に工事が変わっている部分の支払いも必要になります。
例えば基礎工事まで終わっている場合であれば、役所への申請費、地盤調査費、地盤改良費、基礎工事費なども支払うことになります。
建築会社によりますが、打合せの回数や、契約日からの日数によって別途費用がかかるケースも。
解約については必ず契約書の約款に記載されているはずなので、内容を確認してみてください。
違約金の相場
違約金の金額は建築会社によりますが、建築工事費の一割ほどが相場です。
例えば2,000万円であれば200万円、3,000万円であれば300万円ほどが違約金として必要ということに。
ただし明確な基準があるわけではないため、違約金を一律の金額で定め、工事の進捗に応じて別途支払いを行うケースも。
どんな場合にせよ、解約には100万円以上の多額の費用が必要になります。
もちろん解約の理由にもよるため、もし建築会社が有責の場合などは、違約金がかからないケースもあります。
工事が進むほど費用は高くなる
着工前であれば違約金を支払えば、スムーズに解約できるでしょう。
しかし既に着工しており工事が進んでいる場合には、工事が終わっている分の建築費用も支払わなければなりません。
工事の進捗にもよりますが、工事が進むほどその費用は高くなります。
さらに解約が決まった時点で工事はストップしますが、完成しきっていない建物をそのまま残しておくわけにはいきませんよね。
そのため更地に戻すための解体費用と、廃材の撤去費用もかかってしまいます。
着工後でも解約できるとはいえ、かなり高額な費用を負担しなければならないことを覚悟しておきましょう。
注文住宅の解約までの流れ
解約の意思が決まったら、なるべく早く担当者に知らせましょう。
申し出がないと建築工事が進んでいってしまうため、解約するかどうか未定の場合でも、打合せや工事の中断をお願いしておいてください。
その後、違約金や建築費など、解約に必要な費用や手続きについて話し合いを行います。
双方の合意がとれれば、同意書など書面を交わし解約に。
後のトラブルを避けるためにも、きちんと書面にて取り交わしを行いましょう。
注文住宅の解約の前に対応すべきこと
解約の理由は家庭の事情であったり、どうにも避けれない場合もあります。
しかし、もし解約の理由が時期的なもの、金銭的なもの、担当者への不信感であれば、まずは相談してみましょう。
建築会社としても、やむを得ない場合をのぞき、なるべく解約は避けたいものです。
きちんとした建築会社であれば、親身になって相談に乗ってくれますよ。
着工までのスケジュールの変更
もし解約の理由が、事情によりすぐには建てられなくなったからであれば、スケジュールの変更をお願いしてみましょう。
なかには契約後に計画を一時中断し、数年後に再開するというお客様もいます。
ただ、注文住宅にかかる建築費は年々上昇しており、キッチンやトイレなどの設備もどんどん新商品が出てきます…
中断する場合は、契約時での見積もりの金額をそのまま引き継げるのか、再開時に再見積もりになるのか確認しておくといいでしょう。
設備に関しては、中断している間に廃盤になってしまう可能性も。
もしそうなった場合、同じ金額で代替品にできるかどうかも確認しておくと安心です。
間取りの変更
建築会社にもよりますが、基本的には契約後でも、間取りの変更は可能です。
予算の問題で解約を考えているという場合には、間取りやデザインを変更し、予算に合うように進められないか相談してみましょう。
注文住宅においては、例えば家の大きさを一坪減らすだけでも、大きなコストダウンになります。
解約には違約金がかかってしまうため、無駄な出費を避けるためにも、コストダウンで対応できないか相談してみるのがいいでしょう。
担当者を変更してもらう
担当者への不信感が募り、解約をしたいと考える人は、残念ながらたくさんいます・・・
建築会社自体に不信感があれば解約がベターですが、担当者の変更で解決するのであれば、遠慮なく相談しましょう。
悲しいことに、契約後に態度をガラッと変える、不親切な担当者もいます。
そんな人と家づくりを進めたくないのは当たり前。
どんなところに不信感があったのかきちんと伝えることで、次はしっかりとした担当者を付けてくれるはず。
担当者は営業マンだけでなく、現場監理やインテリアコーディネーターなども、申し出をすれば変えてもらえることが多いですよ。
解約はできるが多額の費用がかかる
ここまで注文住宅での解約について解説しましたが、
- クーリングオフは基本的には適用外
- 解約はいつでもできる
- 解約には違約金が必要
- 工事が進むと建築費の負担が大きくなる
- 解約の前に相談する
以上のポイントをしっかりと覚えておきましょう。
解約には費用の負担はもちろん、場合によっては精神的な負担もかかります。
解約にかかる費用や、解約後の流れなどを考慮したうえで、解約を行うかどうか決めることが大切です。