ハウスメーカー、工務店、設計事務所など注文住宅を手掛ける建築会社はたくさんありますよね。 「間取りが気に入ったから」「予算が合ったから」「信頼できる担当者だから」など、契約の決め手も人それぞれ。 誰しも家が完成するまで、ドキドキわくわくしながら待つものです。 しかし、もし建築中に建築会社が倒産してしまったらどうなるのでしょうか? そこまで考えている人は少ないかと思います。 ここでは、万一の倒産リスクに備える「住宅完成保証制度」について、内容や使い方をご紹介します。
大手ハウスメーカーに4年 / 年間1,000棟を手掛けるビルダーに8年
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目次
建築中に建築会社が倒産したらどうなる?
建築会社が倒産するなんて、そんなことある?と思うかもしれませんが、決して珍しいことではありません。
実際に、私の同僚でも「前職の会社が倒産した」という人がちらほら・・・
どの人も、倒産するまでそのことを知らされていなかったそうで、倒産する直前まで建築請負契約をしていたとのこと。
“契約したのに倒産してしまった”というのは、実際にあり得る話なんです。
工事がストップする
万が一建築中に建築会社が倒産してしまうと、その時点で工事はストップしてしまいます。
建築会社は建築工事に必要な図面・申請書の作成、資材や工事の発注、工事スケジュールの監理、現場の監督などを請け負うもので、実際に工事を進めていくのは下請け・孫請けといった専門職の人たち。
工事の依頼を受けた職人さんたちの手により、家は形になっていきます。 そのため、工事の発注を行う建築会社が倒産すれば、報酬を得られなくなるため工事を続けられなくなり、工事がストップします。
支払ったお金は戻ってこない
注文住宅の場合、契約後から完成までの間に数回に分けて代金を支払いますが、当然既に支払ったお金は戻ってきません。
建築中の建物は、諦めて取り壊すか、他の建築会社を探して工事の続きをお願いすることになるでしょう。
そうなると、費用・時間ともにかなりの負担になりますし、精神的なダメージも大きいです。
大手ハウスメーカーが倒産した例もある
私は注文住宅業界に12年間いましたが、実際に「建築会社が倒産してしまった」「工事が止まってしまった」という相談に何回か出くわしました。
過去には全国に営業所を持っていた富士ハウスが倒産したように、大手ハウスメーカーでも倒産の危険はあるんです。
現在でも、資金繰りに困って建売住宅の着工をやめているだとか、提携業者が離れていって着工ができないだとか、危ない話を聞いたりします・・・
こんな建築会社は倒産するかも!?注意するべき危険なサイン
注文住宅で念願のマイホームを建てる際には、予算・間取り・内装デザインなど色々と考えますよね。 特に契約前には、間取りデザインや予算のことで頭がいっぱいかもしれ…
住宅完成保証とは?
注文住宅の住宅完成保証とは、万が一建築中に工事が止まってしまった場合でも、家が完成するまでサポートしてくれる制度のこと。
費用の負担を補填してもらえる以外にも、他の建築会社の手配、支払いの手続きなどをサポートしてもらえます。
住宅完成保証は、万が一ピンチに陥った際に建築主を守ってくれる、ぜひ利用してほしい制度。
住宅完成保証には保険タイプとエスクロータイプの二種類があり、それぞれ保証の内容が異なります。
保険タイプの住宅完成保証
保険タイプの住宅完成保証は、建築会社が倒産したことによって費用の損失があった場合、その損失分を保証してもらえるもの。
既に支払った金額の過払い分や、追加工事の費用が本来の請負金額以上になった際の割増分などを補填してくれます。
仮に工事請負契約を2,000万円で結んでいたとして、最終的に2,300万円支払った場合、割増分の300万円は保証会社の方で支払ってもらえるため、費用を負担することなく完成させることができます。
ただし補填できる金額の上限等は保証会社によって異なるので、必ずしも全額を補填してもらえるとは限りません。
上限はあれど費用の負担を最小限に抑えられるのが、保険タイプのメリットです。
エスクロータイプの住宅完成保証
エスクロータイプの完成保証は、保証会社があらかじめ建築工事代金を預かり、建築会社に変わって業者への支払いを行うというもの。
注文住宅というのは、基礎業者や電気工事業者、大工、左官屋など様々な業者さんや職人さんたちの手で作られます。
本来は建築会社が各業者へ報酬を支払いますが、それを保証会社に一任することで、万が一建築会社が倒産しても工事を進めることができるようになります。
そのため、費用の負担や精神的なダメージを最小限に抑えることができ、さらに工期への影響も抑えられるメリットも。
エスクロータイプは工事を止めずに済むのがメリット。
しかし提携業者に限られるため、利用したいと思っても部分的に利用できないというデメリットもあります。
住宅完成保証への加入は義務ではない
住宅完成保証は建築主ではなく、建築会社が加入するものです。
住宅完成保証が付いていると、万一に備えしっかりと対策してくれているんだな、という付加価値があり、安心感もありますよね。
ただ、住宅完成保証への加入は法律で義務化されていないのが現状。
そのため、加入しているかどうかは建築会社によりけりです。
加入するためには費用がかかるため、倒産のリスクのある、小規模な工務店ほど未加入であることが多いです・・・
もし住宅完成保証を付けたいという場合には、建築会社に相談し、利用できるかどうか事前に確認しておきましょう。
建築中に倒産を経験した体験談
「つい最近まで打合せを進めていたのに、急に建築途中で建築会社が倒産してしまった・・・」 こんな苦い体験をした人は、意外にも多いんです。 実際に困ったことや、どれくらい費用の負担があったのか、住宅完成保証に入っていなかった場合の体験談をご紹介します。
着工前に急に倒産して大パニック
アットホームな雰囲気と担当者の人柄に惹かれ、地元の工務店で契約をしましたが、いよいよ着工というところで突然その工務店が倒産。 担当者からの連絡でそのことを知り、全く予想していなかったので驚きました。 既に600万ほど着手金を支払っていましたが、破産手続きをするとのことで、お金は戻ってきていません。 急いで他の建築会社に相談しましたが、全く同じ間取りでお願いしても設計料がかかる、もう一度地盤調査を行わななければならない、元の工務店との契約解除の手続きなど、なかなかスムーズに進みませんでした… 結局、新しく探した工務店がとても親切で、ご厚意で協力もあり200万円ほどの増額で済みました。 担当の方いわく、200万で収まったのはラッキーだったそう。 一時は大パニックでしたが、周りの協力もありなんとか家が完成して良かったです。
予定していた上棟が行えず工事がストップ
両親の家を建ててくれた地元の工務店で、自分たちも家を建てることに。 順調に進んでいましたが、上棟日の二日前に突然「上棟を行えません」と電話がかかってきました。 なんと会社が倒産したそうで、営業担当も寝耳に水だったようで、ただ謝られるばかりでしたね。 工事はどうなるのか聞くと、下請け業者への支払いが滞っているため工事を継続できない、既に払った分については社員や取引先への支払いが優先されるため、どうなるか分からないとのこと。 別の工務店を紹介してもらいましたが、事情を説明しても「上棟直前だと工事をそのまま引き継ぐのは難しい」と言われました。 結果として350万ほど余分にかかり、さらに完成が遅れたことで娘の入学に間に合わず余計な手間が増えてしまい、踏んだり蹴ったり。 もうこんな経験は二度としたくないですね。
契約直後に倒産し大損害!
念願のマイホームを建てるため、地元の工務店と契約し手付金150万を支払った直後に、倒産したようで連絡が取れなくなりました。
手付金を持ち逃げされたんですね・・・なぜ打合せの段階で見抜けなかったんでしょうか。
資金に余裕がなかったので、頭金が貯まるまで一旦計画は中止するはめに。
また一からマイホーム貯金をすることになり、妻は泣くし、色々な予定が狂いました。
既に土地は購入済だったので税金は支払わないといけないし、本当に苦しかったです。
二年かけてもう一度お金を貯め、次は住宅完成保証が付いている中堅ハウスメーカーで建てました。
二年の間にお金のこと、注文住宅のことをしっかりと勉強して、何事も自分でも知識を付けておくことが大切だなと痛感しました。
注文住宅の契約の流れは?知っておくべき注意点と対処法
注文住宅は出来上がった物を購入するのとは違い、建築会社と建築工事請負契約を結び、契約後に工事が始まります。 家を建てる建築会社を決めるわけなので、家づくりにお…
まとめ
万が一建築途中に建築会社が倒産してしまうと、お金も時間も損してしまう可能性があります。 住宅完成保証について知っているのと知らないのでは、大きな差がありますよね。 注文住宅は、家が完成するまで何があるか分かりません。 倒産まではしなくても、資金がなく着工がストップしてしまうなんて例も。 建築会社が倒産するなんて有り得ない、と思っていたら大間違いです。 もしもに備えて、マイホームを守ってくれる「住宅完成保証制度」についても、一度考えてみてくださいね。